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ラストエグザイル/Last Exile 全26話

ヴァンシップ(二人乗りの小型飛行艇)乗りだった父親達の意思を受け継いで、大空を縦横無尽に飛び回る主人公。謎の少女アルヴィス・ハミルトン(愛称:アル)を守るために、飛行戦艦シルヴァーナのパイロットとして戦火の中に飛び込んでいく彼と、その周囲の人々との交わりを描いている、空中冒険活劇アニメです。

ラヴィ・ヘッド/クラウス・ヴァルカ

ラヴィ・ヘッド/クラウス・ヴァルカ

翼の無い棒状の形をしているヴァンシップの突き抜けるようなスピード感、そして巨大な飛行艦隊同士の迫力ある砲撃戦など、この作品世界では飛行技術がかなり発達しています。しかし、それらは自分達で発明したものではなくて、全てギルドと呼ばれる天空に住む覇者たちによって与えられたものでした。
 極寒の国デュシスと中世ヨーロッパの色彩を色濃く感じさせるアナトレー帝国による戦争が序盤における物語の主軸になっているのですが、それも所詮はギルドの手の平の中で遊ばされているにすぎません。ギルドの力の源であるエグザイル(万能の力を有するといわれている物質)を巡って、世界中を巻き込む戦いが引き起こされる中で、懸命に生きようとする人々の有り様が見事な映像美で描かれています。

特に第1話でいきなり観させられた騎士道精神の不条理さは圧巻でした。大砲による本格的な戦闘の前に、まずは銃兵隊による肉弾戦を行うのですが、人の命を軽視してまで儀礼や様式美を重んじる貴族社会独特のナンセンスな価値観が、とても良く反映されている本作の名シーンだと思います。騎士道精神にのっとった戦いをすべきだなどと綺麗なお題目ばかりを唱える上層部と、無茶苦茶な命令で次々と銃弾に倒れていく兵士達・・・。そんな理不尽な状況下で、死にたくないと必死に祈る兵士の切迫した気持ちが、痛いくらいヒシヒシと伝わってきて、もうこの瞬間から一気に本作の独特の世界観に引き込まれてしまったのです。

とまあ、そんな感じで期待度大で観始めた私ですが、物語が進むに連れて、どうしても気になる点が出てきてしまいました。それは、主人公の青年クラウス・ヴァルカの性格です。バンシップのパイロットとしての能力はずば抜けて高いのですが、良い面は本当にそれくらいで、後は人として???と言わざるを得ない、とんでもないキャラクターだったのです。

彼にはラヴィ・ヘッドという幼馴染の女の子がいて、その子と一緒にヴァンシップに乗る事で生計を立てているのですが、その彼女を蔑ろにする行動を次々と起こしていくのです。明るくて前向きで、思いついたら即行動といった、まさに弾丸娘という表現がピッタリの女の子。だけど、主人公との生活を第一に考えて、生きていく為には何が必要なのか、どう行動しなければならないのか、きちんと判断するしっかり者の一面も併せ持っているのです。

そんなラヴィの忠告を無視して危険な選択肢ばかりを採っていく主人公。でもまあ、若いうちは冒険心も強いだろうし、それはそれで仕方の無いことだよなあと、最初のうちは思っていた私ですが、あまりにも無謀な行動ばかり採る彼に、おいおい身勝手な振る舞いをするのもいい加減にしろよと、いかんせん段々と腹が立ってきたのです。
 まだまだ知識も経験も浅いはずなのに、お前のその自信は一体全体どこから沸いて来るんだよ!?自分だけならいざ知らず、ラヴィまで危険な目にあわせるなんて・・・、そんなに死にたければ自分一人で行けっ!!そんな悪態をつきたくなるくらい、主人公の利己主義的な面ばかりが目に付きました。
 どんなアニメでもそうだと思いますが、主人公に感情移入出来るか否かによって、その作品に対する想い入れも大きく異なってくると思います。ヒロインのラヴィがとても魅力的な子だっただけに、なおさら主人公の存在自体が残念でなりませんでした。

物語を壮大に広げすぎてしまった為に、それらをきちんと収束させることが難しくなってしまって、結果として言いたかった事の半分も言えないうちに終わりを迎えてしまったような、そんな印象を終盤にかけて強く感じました。幾つもの伏線を出しておきながら、それらがほとんど意味をなさなくなってしまう様なラストの締めくくり方には、いまだに納得がいきません。あのような結末にするのであれば、本作はもっとコンパクトにすっきりとしたシナリオにまとめ上げることが出来たはずです。そのほうが物語の大筋がはっきりして、より深く集中して物語を楽しめたのにと思います。

人物の描写に関してもまた然りです。折角何人もの魅力的なサブキャラクター達を登場させておきながら、最後になって個々のキャラクターのエピソードを未消化のまま終わらせてしまうなんてあまりにも勿体無いと思います。敵味方といった垣根を越えて、お互いに惹かれあっていった若い銃兵同士の恋物語など、もっと最後まできちんと描いて欲しかったエピソードが幾つもありました。主人公のクラウスよりも周囲のキャラ達の存在感に魅了されて本作を観続けてきた私としては、そういったサブキャラクター達の顛末をいともあっさりと味気なく扱っている本作の演出には、本当に落胆させられました・・・。

惚れ惚れするような素晴らしい映像美を最後までみせてくれた本作の作画レベルの高さは、流石だと思います。味わい深い素敵なフレーズの音楽も個人的には大のお気に入りです。あとは、それらに負けないシナリオが用意されていたらなあと、その点だけが何時までも勿体無く感じられる、とても惜しい仕上がり具合の作品でした。(波城)

(英題:Last Exile)7点

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